『ロータリーの友』は、国際ロータリー(RI)の認可を受け、ロータリー・ワールド・マガジン・プレス(『THE ROTARIAN』とロータリー地域雑誌の総称)の一員として発行されているロータリーの地域雑誌です。
ロータリーを語る時、ロータリーを思う時、私たちの心の中には各人にとってのロータリーが広がっているはずです。一人ひとりの読み手の生き方によって読み方が異なってよいと思います。なぜ『友』を読むのか、の答えの一つがそんなところにもあるように思います。

2011年5月18日水曜日

2010年12月号 感想

 「RI会長メッセージ」は12月も快調、RI会長自身のテーマソング「Cowboy logic」を紹介しながら「ロータリーはシンプルであるべきだ」という信念を、わかりやすく説かれている。「皆で力を合わせ、私たちのクラブをより大きく、より良く、より豊かにすることで、私たちは世界をより住みやすい場所にすることができるのです」とのこと。会員がお互いを理解し尊敬することがすべてだよ、というメッセージだった。
 ページをめくると、「絆」。家族月間の特集で、ほほ笑ましい家族の写真が6ページにわたって掲載され、頬が緩む。当たり前のことだが、ロータリアンそれぞれに愛情いっぱいの生活があり、人生がある。ロータリー活動は家族の理解なしにはできないない、なんて教訓めいたことを言わなくても、この写真には夫や父に対する誇りがあふれている。家族のようにシンプルに、会員と尊敬をもって付き合うことができたら、ロータリアンとして満点じゃないか、などと心を和ませた。
 「スピーチ」の「備えあれば患えなし」、「何で今、防災なの?」と思ったが、読んでいくうちに、さすが阪神・淡路大震災の救援活動の実務指揮官だ、とうなってしまった。「居安思危(安きに居りて危うきを思う)」ことこそが一番大切。思わなくては備えない。災害現場で生と死は紙一重だが、結果として生と死は雲泥の差がある。それを左右するのが日ごろの備えだという。わかっていても「自分だけは何とかなる」と悪いことは考えないのが人の常という指摘。本当にその通りだ、と感じ入った。カーテンの効用、2階やトイレ、風呂場の安全性、大声を出すと落ち着くなど、具体的なアドバイスも極めて的確で、実務者ならではの内容だと感じた。
 「この人、この仕事」、脳外科という、話を聞くだけでも怖い職業を天職とされ、常に命と向き合う壮絶な体験を重ねられている高松南RCの長尾省吾氏。気管切開しなければならない女児が、声が出なくなると告げられ、最後の一言として残したのが「お父さんお母さん、ありがとう」だったという話に涙し、「亡くなられた患者さんは全部覚えています。私の技量不足、知識不足、判断ミス……」と述べる、謙虚というより切ない回想に感動した。心の底にたゆたっていた重荷を見つめるお遍路の旅で「腰がすわり、足は大地を踏みしめる。『同行二人』の白衣がよく似合った」と締めくくった記者に共感の拍手を送りたい。
ロータリーの友地区委員 深尾兼好