ページをめくると、「絆」。家族月間の特集で、ほほ笑ましい家族の写真が6ページにわたって掲載され、頬が緩む。当たり前のことだが、ロータリアンそれぞれに愛情いっぱいの生活があり、人生がある。ロータリー活動は家族の理解なしにはできないない、なんて教訓めいたことを言わなくても、この写真には夫や父に対する誇りがあふれている。家族のようにシンプルに、会員と尊敬をもって付き合うことができたら、ロータリアンとして満点じゃないか、などと心を和ませた。
「スピーチ」の「備えあれば患えなし」、「何で今、防災なの?」と思ったが、読んでいくうちに、さすが阪神・淡路大震災の救援活動の実務指揮官だ、とうなってしまった。「居安思危(安きに居りて危うきを思う)」ことこそが一番大切。思わなくては備えない。災害現場で生と死は紙一重だが、結果として生と死は雲泥の差がある。それを左右するのが日ごろの備えだという。わかっていても「自分だけは何とかなる」と悪いことは考えないのが人の常という指摘。本当にその通りだ、と感じ入った。カーテンの効用、2階やトイレ、風呂場の安全性、大声を出すと落ち着くなど、具体的なアドバイスも極めて的確で、実務者ならではの内容だと感じた。
「この人、この仕事」、脳外科という、話を聞くだけでも怖い職業を天職とされ、常に命と向き合う壮絶な体験を重ねられている高松南RCの長尾省吾氏。気管切開しなければならない女児が、声が出なくなると告げられ、最後の一言として残したのが「お父さんお母さん、ありがとう」だったという話に涙し、「亡くなられた患者さんは全部覚えています。私の技量不足、知識不足、判断ミス……」と述べる、謙虚というより切ない回想に感動した。心の底にたゆたっていた重荷を見つめるお遍路の旅で「腰がすわり、足は大地を踏みしめる。『同行二人』の白衣がよく似合った」と締めくくった記者に共感の拍手を送りたい。
ロータリーの友地区委員 深尾兼好