『ロータリーの友』は、国際ロータリー(RI)の認可を受け、ロータリー・ワールド・マガジン・プレス(『THE ROTARIAN』とロータリー地域雑誌の総称)の一員として発行されているロータリーの地域雑誌です。
ロータリーを語る時、ロータリーを思う時、私たちの心の中には各人にとってのロータリーが広がっているはずです。一人ひとりの読み手の生き方によって読み方が異なってよいと思います。なぜ『友』を読むのか、の答えの一つがそんなところにもあるように思います。

2011年5月18日水曜日

2011年2月号 感想

 今月号は言葉の面白さ、説得力に驚かされた。まず始めがクリンギンスミスRI会長のメッセージ「ロータリーのDNA」。ロータリー活動の中核となる5つの価値観のことだが、ロータリアンが何者かを示す共通の本質という意味で、まさしくDNAということになる。
 次が「ポリオの移動するターゲット」。この一言でカーストに根ざした貧富の差や職業が生みだした定住しない子供たちを抱えるインドの現状、移民労働者や遊牧民をひと家族ずつ探して出してワクチンを投与するしか方法がない、というポリオ撲滅の大きな障害が見えてくる。 
 縦書きのページでは、十四代酒井田柿右衛門氏の有田の伝統を語るインタビュー記事に「きれい」ではなく「美しい」ものを、という言葉が出てくる。「きれい」は飾られた状態、不純物がない状態というだけで味がない。「美しい」は素顔の状態、日本人だけが持ち合わせている美意識。「なるほど」と唸ってしまった。また「職人は不器用な方がいい」という言葉、器用な人は早く作業を覚えるが、その余力で自分の個性が出てしまう,そんな人は職人じゃなくて作家になればいい。伝統の世界は便利なものを取り込んでいくと、本来のものが崩壊してしまう。先人が残した技を愚鈍なまでの忠実さで身につけていくのが本当の職人。作家ものだけに目を奪われていたが改めて伝統品の凄さを実感してみようと思った。
 次の『この人この仕事』大宮北ロータリークラブ染谷庄一郎さんの「漬物は文化です」も自分の商売に対するこだわりと自信が、「文化です」の一言で伝わる。野菜を保存するためのその土地ならではの技術。伝統と風習が育んだ地域文化だから見栄えや価格ではなく手間暇かけた仕事に拘るという染谷さんの言葉に商品への愛情がしっかり見えた。
ロータリーの友地区委員 深尾兼好