『ロータリーの友』は、国際ロータリー(RI)の認可を受け、ロータリー・ワールド・マガジン・プレス(『THE ROTARIAN』とロータリー地域雑誌の総称)の一員として発行されているロータリーの地域雑誌です。
ロータリーを語る時、ロータリーを思う時、私たちの心の中には各人にとってのロータリーが広がっているはずです。一人ひとりの読み手の生き方によって読み方が異なってよいと思います。なぜ『友』を読むのか、の答えの一つがそんなところにもあるように思います。

2012年10月31日水曜日

2012年10月号のみどころ

 まず表紙から、ライトアップされた国宝「興福寺五重塔」の輪塔と薄雲に包まれた月の絶妙の構図、正しく天平の優雅を映し出すショットだと感じた。裏表紙の案山子も表情がいい。あおりの効果で故郷を警護しようとする意気込みが見えるようだ

 10月は職業奉仕月間。ロータリーが他の奉仕団体と一線を画する独特の奉仕理念だと教えられて気合いを入れて読んでみた。田中作次RI会長のメッセージ、「仕事をする目的とは、ただお金を稼ぐだけでなく、いかに地域社会に貢献し、人々の生活をより良くできるかにある」。成程これが「超我の奉仕」利己利他の職業意識なのだろう。特集ページでは、釧路RCの小船井修一PDGがシェルドンの職業奉仕理念について解説されている。「最も良く奉仕したものが最も多く報われる」というシェルドンの職業奉仕の概念はロータリー活動のみならず企業活動の実務にも通じることで、「顧客満足」「顧客ロイヤリティ」「カスタマーディライト」「CSR」の向上が利益の源泉となる。つまり「最もお客様の満足を得たものが、最も多く報われる」という言葉に置き換えられ100年前のシェルドンの理念と根底は同じだと気づかされた。小船井PDGは11月10日の当地区、地区大会にRI研修セッションのパネラーとしてご出席の予定。じっくりと生でお話を伺いたい。更に「田中作次RI会長に聞く」の頁では、ロータリー・モメントとして最初に感動したのが職業奉仕を教えられ考え方が変わった事と話され、職業はみんなのために役立つこと、そしてそのことに気づくためにロータリーがあるとされた。また、ロータリアンであることに幸せを感じたら、ほかの人にもその幸せを分けて欲しい。「ロータリアンを増やすことが世界平和につながる。」 誇りに満ちた素晴らしい言葉に感激してしまった。

 国際大会開催地リスボンの案内、ページレイアウトと写真が綺麗。ブルーのタイルと赤い屋根、可愛いケーブル鉄道と古くて新しい丘の町。行ってみようかなという気にさせる「上手いなー」と唸ってしまう特集。
やさしいロータリー財団の話は役に立つ。ほとんど会員の誰もが理解していない財団の新しいシステムが、気負って勉強をしなくてもほんの1分毎月読めば理解出来そう。『Rotary Moment』人との出逢い、言葉との出逢いといったロータリーが好きになる切掛けがいろいろ紹介されていて納得できる。『はじめる一歩』もロータリアンとして、知ってそうで知らない情報が掲載されていて必読のページ。会員アクセスなんて言葉はよく知っているのに、実際は登録してなかったり・・この3つのコーナーはずっと続けて欲しい企画だと思う。

 縦組みのページに移って、『SPEECH』 日本社会事業大学 潮谷義子さんの講演。『Think globally Act locally』 変化の激しい時代にあって、東日本大震災がもたらしたものは廃墟と絆。思想や宗教、経済力といった枠をこえて被災地に世界中から手が差し伸べられたが、出来事を離れて現実を見ると、家族の絆は途切れ、虐待、差別、差別といった現象が横行している。昔からの行事や仕来たりは廃れ、地域との絆も希薄になった。「家族が漂流している」と潮谷さんは表現したが、家族の中の伝統や地域の文化を知らずして世界の文化は理解できない。我々のなすべきは、今、この現実を直視して、子供たちに家族や地域との絆を改めて教え込むという事ではないだろうか。