『ロータリーの友』は、国際ロータリー(RI)の認可を受け、ロータリー・ワールド・マガジン・プレス(『THE ROTARIAN』とロータリー地域雑誌の総称)の一員として発行されているロータリーの地域雑誌です。
ロータリーを語る時、ロータリーを思う時、私たちの心の中には各人にとってのロータリーが広がっているはずです。一人ひとりの読み手の生き方によって読み方が異なってよいと思います。なぜ『友』を読むのか、の答えの一つがそんなところにもあるように思います。

2014年8月18日月曜日

2014年8月号のみどころ

写真の出来栄えは偶然が左右することが多い。今月の表紙も、難攻不落の尖峰マッターホルンの眺望、雲一つない真っ青な空、微細な皺まで映り込んだ壁、狙って撮れる風景じゃない。もう一枚も母鳥と雛の会話が聞こえてきそうなサンダーバード(雷鳥)の親子、普通は望遠で遠くから息をひそめて撮る構図。1mまで接近できるなど幸運というしかない。

ちょっと感激して本誌冒頭、黄RI会長のメッセージに目を移す。奉仕を続けるために、ロータリーは常に成長しなければならない。クラブを楽しい場にすることが会員増強に繋がる、その一つの試みが自身の家族をロータリアンにすること。ン? 自分の家族・・?『Rotary いま・・』で二神編集長も会長の言葉として紹介されているが、財団学友、ローターアクターといった所謂「ロータリー家族」だけでなく、「配偶者をロータリーに誘うべきである」と。職業を持たないということで増強対象としては注目されなかったが、長年ロータリアンと共に活動に参加してきた配偶者は、そのことだけでロータリーの理解者であり入会が活力となる、成程、とは思うが、自身の課題としてはちょっと保留。

こういった黄会長の意向を反映して「会員増強・拡大月間」の特集は「ロータリーを楽しもう」クラブの会員維持・親睦に役立つ様々な同好会を実際に会員増強にも役立てているクラブが紹介されている。名古屋東南RCには、20以上の同好会があり、ゴルフや囲碁、カラオケ、釣り、グルメ、ワインといった当たり前の同好会だけでなく、「漢(オトコ)の料理」や70歳以上でクラブの在籍年数と合わせて100歳以上で入会できる「超老会」があり会員増強に貢献している。東日本大震災の被災地、相馬RCは、「相撲甚句」をクラブのアイデンティティづくりに活用し元気を取り戻している。大阪御堂筋RCは本格的な混声合唱と爆笑のパフォーマンスをこなす「コーラス団」を有し、今年の地区大会終了後は、かのフェスティバルホールで歌声を披露することが決まっている。帯広西RCは「和食と酒を愛する会」鮟鱇に始まり、きんき、早掘り筍、松茸といった旬を味わう宴に会員の半数以上が参加する。福岡西RCはもっとユニーク。博多料亭の女将からお座敷の礼儀作法を学ぶ「博多お座敷勉強会」は勉強後の芸者遊びもあって転勤族に大うけ、社員や娘を参加させたい、という会員も多いとか。諫早RCは、ぶらぶら道草を食いながら楽しく歩く「ライブリング同好会」が会員以外の参加者を募ることで会員増強やクラブ広報に貢献している。最後が川崎高津RCの「FBロータリアン交流会」フェイスブックというSNSを使った他クラブとの情報交換の場であり、交流を図る場として機能している。さらにオフ会というオンラインを外れた会合ではFBでお友達になった初対面の友人との親交が深まり、全国大会まで行われる勢いを呈している。確かにありきたりの例会、奉仕活動では味わえない自分らしい楽しさが発見でき、退会防止に役立つと共に同好の士として会員に吸収する効果も期待できそうだ。

シドニーオリンピックの聖火が灯された「シドニー国際大会」の頁。この中で堺フェニックスRCの京谷「友」地区代表委員が、国際大会で挙式したロータリアン新郎新婦を紹介されていたが、ホントに素晴らしい!新婚旅行に訪れるならともかく、挙式して国際大会に世界中から集まってきたメンバーに祝福されるなんて、この記事を紹介した京谷さんの誇らしげな顔が目に浮かぶ。

あと横組みページでは『よねやまだより』が今月は恒例の基礎知識を掲載していてわかり易い。外国人留学生を対象とした日本最大の奨学金制度で、日本ロータリーの父「米山梅吉氏」の意志、世界平和のために海外に日本の誠を知らしめる,を遂行する制度であること等、財団寄付との混同や支給対象への誤解も多い中で、各クラブに熟読を奨励したい。

縦組に移って、『SPEECH』。十和田市現代美術館長、藤 浩志氏の講演要旨「地域を変えるソフトパワー」は見方次第で常識は覆るといった点で面白い。ソフトとは柔らかい状態、未熟こそが可能性だということ。そういえばITでいうソフトウェアも常識を覆すという意味では同じか・・?まず骨格を作りそれに肉をくっつける「脊髄構造」という常識から脊髄を持たないアメーバのようにいろいろなベクトルに向かってものが創られる「軟体構造」へ、ビジョンという確かなものではなくベクトルといた不測の方向性へ意識をシフトするのが現代。また芸術は目に見える普通のものを重ね重ね超えることでありえない状態にさせることだ、とも。だから普通のものを面白いと感じる外部の人を地域のブレーンに取り込めば良き誤解が生まれ地域が変わる。そういう事かしらね。

『わがまち・・そしてロータリー』は佐世保。商店街には、物を売り買いする経済的役割のほかに、人々の出会いの場となる社会的役割、そして情報を発信する文化的役割がある。という持論で、街に人を集めるため護衛艦カレーグランプリという大ヒットイベントを仕掛けた「若者、馬鹿者、よそ者夢会議」の話。確かに元気な街では、よそ者が張切ってるように感じる。共感しきり。

今月号は『ロータリーアットワーク』写真編トップに鹿児島サザンウィンドRCの「車いすバスケットボール」。文章編に小林RCの「自殺予防フォーラム」と高鍋RCの「ロータリー公園の清掃活動」が紹介された。出だし順調。