『ロータリーの友』は、国際ロータリー(RI)の認可を受け、ロータリー・ワールド・マガジン・プレス(『THE ROTARIAN』とロータリー地域雑誌の総称)の一員として発行されているロータリーの地域雑誌です。
ロータリーを語る時、ロータリーを思う時、私たちの心の中には各人にとってのロータリーが広がっているはずです。一人ひとりの読み手の生き方によって読み方が異なってよいと思います。なぜ『友』を読むのか、の答えの一つがそんなところにもあるように思います。

2014年10月17日金曜日

2014年10月号のみどころ


表紙はやはりメッセージを読んで改めて見るのがいい。紅葉していればもっとよかったのにと思う「晩秋の高千穂峡」だが、訪れた人なら誰でも印象に残している風景は、メッセージされている内容とともに、それなりに感慨深い。ただ鹿児島県人からすると神秘的すぎる景観によって神話の故郷のお株を奪われた感があり、ちょっと癪なのだが・・・
もう一つの表紙「街にも秋の大神楽」は、たしかに確かに、大観の村童観猿翁を彷彿とさせる。子供たちの好奇心あふれる目がいい。

 今月の「友」は職業奉仕月間の特集。職業奉仕といえば、あまりにロータリーの本質的すぎて、クラブの委員会ではほとんど議論にならないテーマ。「我々は誰もが、自分の職業に誇りを持って、一生懸命働いてるんだ。これこそが職業奉仕だよ!」で終わってしまう。特集の最初『I Serveの究極にあるもの』で服部PDGがおっしゃる通り、「Vocational Service」と意味づけられた職業奉仕は、神の御心に沿う「天職」に近いニュアンスがあって、諸先輩の講話は「悟りを啓くために座禅を組んでいるようなもの」に近い。職業奉仕論の権威、深川純一PGと田中毅PG、小船井修一PGのお三方に直接お話しを聞く機会があって、それぞれに感銘を受けたが、その内容がこのページにも取り上げられている。「ロータリーは倫理運動であって、その中で愛情の世界に生きる心をもって職業を営むべし」という深川PG。シェルドンの講演原稿の翻訳から「職業奉仕論は現代にも通用する商売繁盛。経済発展の基本理念と同じだ」とする田中PG。その間を取り持つように「職業奉仕は顧客満足で終わらず、それ以上に予想外の嬉しい感動をもたらす」と理論を発展させた小船井PG。

私見ではあるが、「職業奉仕」という言葉は全ての議論で職業を通じての奉仕となっているが、「社会奉仕」という言葉のように社会に対する奉仕、職業に対する奉仕とは見られないだろうか?職業に対する奉仕なら、自分の職業を誇りあるものとするため、業界の倫理を高め、技術を研磨し、社会的な職業的評価を得るために奉仕すること、とも解釈できるのだが・・何れにせよこの6ページは日本のロータリアン要保存とすべきだと思う。
次の『農業を通じた私の人生』、何と我が地区、田中俊實ガバナーのお膝下、鹿屋市からの投稿、堂々の3ページ。素晴らしい!!「私の仕事は農業。目標は南九州一のニンジンとゴボウの生産農家になること」と胸を張る鹿屋西RCの櫨山時美会員の文章からは、寝ても覚めても農業。「医者が病人を治すなら、私は病まない食を考え、作り、農業を支える」という誇りが感じられる。農業という職業を通じて、真実に公平に好意と友情を深め、みんなのために奉仕します。という締めくくりは正しくロータリアン。4つのテストの実践が述べられていた。

縦書きページに移ってSPEECH』一橋大学大学院の田中一弘教授の「渋沢栄一から読み解く21世紀の経営者精神」は職業奉仕月間ならではの講演要旨。道徳と経済は表裏一体、本質的に一致する、という渋沢栄一の「道徳経済同一論」が解説されている。普通は道徳と経済は矛盾すると考えられ、そのバランスをとるのが商業道徳とされているが、渋沢は道徳=経済、「道徳なくして経済なし、経済なくして道徳なし」とまで言い切る。商業道徳は消極的道徳「為すべからざることをするな」つまりコンプライアンスの重視と言うことだが、渋沢はそれに留まらず積極的道徳「為すべきことをせよ」つまり他者の利益を優先せよ、というもう一つの道徳を付け加えた。かつて社会学・広告論で教わったCSR(企業の社会的責任)でいうメセナとかフィランソロピーのような後ろめたい社会還元ではなく、企業が堂々と利益を上げることが社会の利益(公益)をもたらすような経営をしろということなのだろう。読むほどにシェラトンの職業奉仕論と重なる。と同時に儒教の「博施済衆」、仏教の「自利利他」キリストの「黄金律」とも本質的に同じだと感じたが違うかしらん・・?


最後に『わがまち・・そしてロータリー』堺フェニックスRCの京谷会員がゾーン会議で自慢していた仁徳天皇陵の町。実は私も中学、高校と青春時代を過ごした街である。「ものの始まりなんでも堺、堺は新しもん好きなんですわぁ」。解る、分かる、商人の自治都市、鉄砲鍛冶、千利休、与謝野晶子と聞いただけで曲者の雰囲気いっぱい。刃物とお香、とろろ昆布は今でも優れものだと感じているが・・・、

今月は『友愛の広場』に鹿児島中央RCの福山孝子会員の「米山奨学生の結婚式に列席して」『バナー自慢』にえびのRCが掲載された。投稿呼びかけは順調である。




Eクラブの是非について議論が盛り上がったが、トラディショナルクラブの中で、あまりにもEクラブについて無知の多い現状では、正しくその特性と規定審議会の決定について「友」で詳解すべきでは、と感じた。
・ロータリーのブランディングについての特集の必要性を感じた。各クラブが表記や使用形態においてまちまちでは、混乱するのではないか。
・ゾーン別会議は各委員が存分に意見が述べられて極めていい機会だと思う。