『ロータリーの友』は、国際ロータリー(RI)の認可を受け、ロータリー・ワールド・マガジン・プレス(『THE ROTARIAN』とロータリー地域雑誌の総称)の一員として発行されているロータリーの地域雑誌です。
ロータリーを語る時、ロータリーを思う時、私たちの心の中には各人にとってのロータリーが広がっているはずです。一人ひとりの読み手の生き方によって読み方が異なってよいと思います。なぜ『友』を読むのか、の答えの一つがそんなところにもあるように思います。

2014年7月18日金曜日

2014年7月号のみどころ

新年度の最初の「」。という気合が表2を丸々使ったポール・ハリスの全面写真に見られる。100年経ってもなお新鮮さを失わない印象。その言葉も普遍の響きを持って伝わる。そうか、迷ったら原点に返らねば・・と改めて思う、のが7月号かしら、ね。

トップページはRI新会長を差し置いて、橋本長平ロータリーの友委員会委員長の決意表明。思いやりの心こそがロータリーの中枢を占めるものであり、ロータリアンがロータリアンであり続けるために、そしてロータリーの目的を達成するために「思いやりの媒体」としての機能を果たす。穏やかだが厳しい決意表明だと感じた。更に地区代表委員の地区における位置づけにも言及していただき感謝、感謝。早速コピーして月信委員会に転載を要望しようと思った。

次がゲイリー・ホァンRI会長のメッセージ。さすが中国(台湾)の方らしく、孔子の言葉を随所で引用されロータリーを解釈しておられる。曰く「ただ座って暗闇を呪うよりも、ろうそくを灯した方がいい」飢えや病に苦しむ人に同情はしても、何もしない、では何も変わらない。一人のロータリアンが点したろうそくの灯は120万人の大きな灯となって世界を輝かせる。曰く「まず自分の行いを正しくし、次に家庭を整え、次に国家を治めてこそ、天下が平和となる」Light up Rotaryをもたらす一つの方法が「ロータリーデー」の開催。それぞれの地域で一人でも多くのロータリー理解者を増やし、ロータリーファミリーを際限なく拡大していくことが強いロータリーを育てることになる。なるほど、何ということはないと思っていた「ロータリーに輝きを」というテーマだが「120万人のロータリアンが一体となれるよう働きかける」ということなのだと理解し、その深さに感銘を受けた。

そして『』 素晴らしい、というタイトルのつけられた黄其光(ゲイリー・ホァン)RI会長の紹介記事、若すぎることを理由に入会を断られたクラブに9か月間毎週例会に出席し、30歳で入会。5年後クラブ会長、更には台湾で最年少のガバナー、初のRI理事、財団管理委員を歴任、ついに会長にまで上り詰めたエリートロータリアンは、少年時代からスポーツもスピーチも万能で、父親の指導でリーダーとなるべく他人に手を差し伸べることの意義を学ぶ。アメリカで経営学を修め、世界を駆け巡って保険業界を学び、帰国後は地元の保険会社を一流の会社に成長させた実績も持つ。まさに素晴らしい。だがもっと微笑ましいのは、自分のニックネームが当時の大俳優、ゲイリー・クーパーのゲイリーであること、孫のエバン君は、何とエバンストンからもらったものだとか・・ホァンファミリーの笑顔に満ちた生活を彷彿とさせるエピソードである。彼は若い会員や女性の入会に反対する保守派に対して「若い会員はロータリーの未来だ。ひょっとすると私たちをはるかに凌ぐよ」と冗談を交えて戒める。黄氏は人生で一番大切な位置を占めている家族をロータリーに呼び込めば家族との時間を犠牲にすることもなくなる、とも。まさにこのリーダーの元にあっては、ロータリーは楽しくなければならない。楽しくしなければならない。そうすることによって灯の輪が広がりロータリーが輝く、という思いに駆られる。素晴らしい。

バナー紹介』、当地区の田中俊實ガバナーが奥様との仲睦まじい2ショットで掲載されている。よーく見ていただけると・・お二人の顔の距離が34クラブ中最も近い!ホァン会長の考え方に最も近いことが見て取れる。さらにわがガバナーは、中学時代バレーボールのセッター。ホァン会長のバスケのポイントガードと相通じるものがある。思わずニンマリ、頬が緩んでしまった。

ねやまだより』では、昨年10月ネパール、今年3月モンゴルと相次いで海外学友会が誕生し、旧来の台湾、韓国、中国、タイと合わせて6つ学友会になったことが報告され「恩返し」の一つの形として、日本人留学生への支援がおこなわれているとも記載されていた。米山奨学会は、現在の社会情勢から、韓国、中国学生への支援に反発する向きもあるが、日本の良さを知らしめ、海外と日本の懸け橋となる若者を育成する事が本来の目的であることから、期待通りの、否、期待以上の成果だと評価できると思うが・・・。

庫通信』に目を移して、ロータリー文庫のHPに毎月1万件以上のアクセスがあると知って、ちょっと驚いた。専門の職員がいて検索の手伝いもしてくれるらしい。地区ではガバナー年度によって資料の扱い事務所が変わることから、資料が散逸し周年事業に支障をきたしている地区も多いと聞く。歴史を重ねるほど過去の資料は価値を増す。ロータリー文庫の活用を呼び掛けたい。

ひっくり返して縦書きの頁。『SPEECH』は狂言師、茂山千五郎氏の職業奉仕講演会の要旨。日本神話におけるアメノウヅメに始まる芸能の歴史、大衆の娯楽から観阿弥、世阿弥によって宮中の芸能へ、さらに江戸時代には武家の式楽となり、武士は教養として謡を謡い、能を舞うに至ったと話に、まず引き込まれる。さらにここからが面白い。「お豆腐主義」なる茂山千五郎家の家訓、明治になって大名の扶持を貰えなくなった茂山氏のひい爺さんは屋外芸の大声を活かして余興に狂言を演じ、「何にでも使える豆腐みたいなやつ」と嘲笑されたとか。ところが茂山家では「そうや、豆腐は金持ちから貧乏人まで皆に親しまれて飽きの来ない、味わいのあるもんや」と受け止め家訓にした。お豆腐主義、京都文化への反骨主義かぁ、と思って次の『わがまち・・・そしてロータリー』を読むと、またまた京都の話。西陣の老舗呉服屋女主人の奮闘記。「来たなかったら来ていらん」「それで何ぼになるねん」ばっかりの京都気質。碩学、梅棹忠夫さんの文章には「京都のひとの心には、ぬきがたい中華思想が潜んでいる」とある。文字通り自分中心で京都以外の人は「化外の民」。京都さくらRCの田中峰子会員は、そんな街で周囲にボロカスに言われながら重文指定の店舗を「西陣暮らしに美術館」として開放した方。このしたたかさも京都人のもう一つの特徴かもしれない。

今月は『ロータリーアットワーク』に鹿児島西RCの「賀寿の宴宮崎中央RCの「ネパール訪問の2件が掲出されている。まずまずの滑り出しですかね。